屋根裏のN氏

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大人のための残酷童話「エレンディラ 01大きな翼のある、酷く年取った男」

人間、やっぱり何でも慣れてしまうものなんですね。

 

初めは異物感を感じるものでも、

時間の経過がそれを感じなくさせてしまう。

新しい歯の詰め物みたいな感じでしょうか?

初めは噛み合わせに違和感を感じ、

でも食事の度にその感覚もどんどん薄れていく。

 

たとえそれが、天からの使者でも

同じように日常の中に風化してしまうんですね。 

 

と言う訳で今日はこちら。

 

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エレンディラ (ちくま文庫)

 

エレンディラ

著者 G・ガルシア=マルケス

鼓直木村榮一

「大きな翼のある、酷く年取った男」

を紹介します。

 

内容は、ある夫婦の前に

突然、翼の生えた酷く歳をとった男が

家の近くで泥まみれで見つかります。

 

その男はどうやら

物知りの女の話では天使だと言う。

 

すぐに天使がいると言うことが街中に知れ渡り、

連日多くの人が

夫婦の家を訪れるようになりました。

 

困った夫婦は見物料を取り、

それで夫婦の生活は大変豊かになりました。

 

夫婦の家の周りは行商人やサーカス、

見世物小屋が集まり一つの市のようになりました。

 

天使の奇跡を求めて重病人も集まります。

しかし、天使の起こした奇跡は本人の意図するものではありませんでした。

そのうち見物人も、

奇天烈な奇跡を振るう天使よりも

そこに集まった見世物に熱中するようになり

関心が天使からそれていきました。

 

そして、さらにしばらくすると

人々は集まらなくなり

以前のような穏やかな日常が帰ってきて、

そのうちに天使はどこかに飛び去ってしまいました。

 

と言うような内容でした。 

 

やはり人間は、

少しずつ物事に慣れていってしまって

最後にはなにも感じなくなってしまうものなんですね。

 

どんなにお茶の間で笑いを取ったお笑い芸人でも

常に新しい笑いを提供できなければ

一発屋と言われて次の年には

新しい人がそのポジションにいる。

 

たとえ天使だったとしても、

その役割を全うする価値を提供できないと

存在を忘れられてしまう。

 

本当に残酷な話です。

まあ、この本自体が

「大人のための残酷な童話」として書かれた

6つの短編と中編収録の小説なので

何となく納得です。

 

ただ、童話は学びや教訓があったりするものが多々あるので

ここから何か感じ取っていきたいです。

 

それでは今日はこの辺で

じゃあ、また。

 

追伸:皆さんは飽きられない価値を

誰かに提供し続けられますか?

僕も日々努力して

皆さんに何か価値を届け続けて行きたいです!