屋根裏のN氏

700本の映画DVDや、書籍、ホビーなど屋根裏に蓄えた趣味を紹介するblogです

バラの香りは死の香り「エレンディラ 02失われた時の海」

国が変われば文化が変わりますよね。

 

日本では死ぬときには三途の川を渡って死後の世界にわたる

と言うイメージですが

ラテンアメリカでは少し様子が違っているようです。

 

と言う訳で今日は

f:id:yaneura-n:20190213042829j:image

 


エレンディラ (ちくま文庫)

 

エレンディラ

著者 G・ガルシア=マルケス

鼓直木村榮一

「失われた時の海」

を紹介します。

 

大人のための残虐童話と言う触れ込みの本書ですが

少し今回はメルヘンな部分もありました。

 

内容としては

海からバラの香りが漂ってきて

一人の男がその香りを嗅ぎつけ

その匂いが元で

寂れた町が活気あるれるようになった。

 

しかし、香りにつられて人が増え

そのせいで町が汚れ、バラの香りも

いつの間にか立ち消えてしまった。

 

そんな時、金持ちの男が町に現れた。

 

男に自分の特技を見せ

出される課題をクリアすれば

大金がもらえるのだ。

多くの人がそれに参加し町は熱狂した。

 

金のばらまきが終わり、金持ちは眠り

町は元の状態に戻っていった。

 

その後、金持ちが目を覚ますと

最初にバラの香りをかいだ男を連れ立って

海の底へと潜っていった。

 

そこには沈んだ

白い家の立ち並ぶ村があり

テラスには無数の花が咲き乱れていた。

 

さらにその先には

無数の死体が層をなしていた。

この町では死んだものを海へと葬る習慣があったが

その死体が層をなしていたのだった。

 

海から戻り男は妻に

白い家と無数の花の話をしたが

「二度とそんな話をしないで!」と言われた。

 

 

と言う内容です。

ちょっと掴み辛い説明になってしまいましたが

大体こんな感じの流れです;;

 

僕が思うに

バラは死後の世界からの香りで

死期が迫った人間に届く香りだと思いました。

物語の中で、

バラの香りがわかる人と

そうでない人が居ました。

 

香る人間はもう少しで死んでしまう可能性のある人で

分からない人は死と遠い存在。

 

そして、あとからやってきた金持ちは

死の世界の案内人の悪魔なのではないかと思いました。

金持ちは、

自分の特技を見せて

一定のレベルに達したものに報酬を支払っていますが

とても、情人では難しい課題がたくさんありました。

 

最初の鳥の鳴きまね48種を簡単に達成させてたのは

呼び水としての効果で達成させたのでしょうが

 

それ以降の老人のチェッカー勝負や

100人の男と寝るなど

とても達成できないような思いをさせ、

絶望感を煽って、

死後の世界に誘おうとしていたのかもしれません。

(老人はチェッカーの名手で、

手加減をしてそれを相手に気取られず負けてやれるほど

やりこんでいたにも関わらず

何度も何度も金持ちにまかされ

とんでもない借金を背負わされます)

 

そして、海中は死後の世界。

無数に咲く花は、

日本で言う所の彼岸花のようなものなのでしょう。

そして白い家は死後の家。

 

それを直感的に感じ取った妻は

だから夫に「そんな話をしないで!」と言ったのでしょう。

 

ラスト付近で、

ウミガメを取って頭を跳ねて殺して食べてしまうシーンがあるのですが

これは死後の世界から

帰る事が出来ないようにと言う意味があったのでは?と考えます。

 

と言う訳で

ラテンアメリカ版「三途の川」の物語を今回は堪能しました!

 

じゃあ、また!