屋根裏のN氏

700本の映画DVDや、書籍、ホビーなど屋根裏に蓄えた趣味を紹介するblogです

心理学者が収監されたらどうなる?「夜と霧」

読書はホントに素晴らしいですね!

自分が体験していないことを

筆者の目線で追体験することが出来る。

 

ただ、今回紹介する本は

自分自身では体験するのは絶対に遠慮したい内容ですが… 

 

今回紹介するのはこちら

 

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夜と霧 新版

 

夜と霧 新版

著者 ヴィクトール・E・フランクル

訳 池田香代子

です。

 

この間紹介した佐々木常夫さんの「運命を引き受ける」

の中で紹介されていた本です。

yaneura-n.hatenablog.com

 

内容としては

あの悪名高きアウシュビッツ強制収容所の支所に収監されてしまった

ある心理学者の実際の体験談をまとめたものです。

 

なのでこれはフィクションではなくて実話なんですね。

 

実際に体験した本人だから書ける

生々しい収容所生活が描かれています。

 

個人的に2つ印象に残ったエピソードがあるのでご紹介します。

 

まず、

「1944年のクリスマスから1945年の新年にかけて

かつない大量の死者を出した」

と言う話がありました。

「クリスマスか新年にはきっと解放される」

と言う希望的観測を行った結果

それが叶わず体を崩して死んでしまった。

と言う話です。

 

精神が人を殺すと言う事を改めて認識させられる

恐ろしいエピソードですよね。

ただ、希望を持つのが悪いわけではないですよ!

 

そしてもう一つが

「長い事空恐ろしい抑圧のもとにあった人間は

解放されたためにある種の精神的な危険に脅かされる」

と言う事。

解放された後、

被収容者たちは、「うれしい」と言う感情を

忘れてしまっていました。

長い事、夢にまで見た外の世界に出られたのに一向にその実感がわきません。

 

そうしてしばらくする内に外に出られた実感がわくのですが

今度は自分勝手な衝動にかられます

麦畑と踏みながら歩いたり

暴力的になったり

抑圧されていた衝動が解放をきっかけに間違った方向に

出てきてしまう。

 

これっていじめられっ子といじめっ子の心理にも

通ずるところがあるのではないでしょうか

 

いじめられたり、

厳しくしつけられたりして

抑圧されていた子供が

ある日を境に弱い存在を見つけて

それを、抑圧された感情のはけ口にしてしまう。

 

だから、いじめられっ子がいじめっ子になってしまう。

そんな事を思わせる内容でした。

 

そうやって考えると、

どちらの子供ももっとケアが大切になってくる

可愛そうな存在に見えてきます。

 

と言うような収容所での体験。

その後の事。

 

それを心理学者ならではの切り口で

描写した本書。

 

とてもこれから生きていく上で、

指針になるような事がたくさん書いてありますよ!

 

とてもおすすめしたい本です!

気をみて何度でも読み返したいです!

 

じゃあ、また!

 

追伸:テヘランの死神と言う話が中に出てくるのですが

そこも是非読んでみて下さい!